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精神分析史と臨床

「精神分析史と人文科学」シンポジウム

PSYCHOANALYSIS

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NEWS

NEWSお知らせ

  • 2023.07.31
    2023年度の「精神分析史と人文科学」シンポジウムの申込みを開始いたしました。
  • 2022.08.01
    遠藤不比人先生と藤井あゆみ先生によるCROSS TALK(対談)を公開しました。
  • 2022.07.13
    2022年度の「精神分析史と人文科学」シンポジウムの申込みを開始いたしました。

CONCEPT

CONCEPTコンセプト

フロイトは亡くなるちょうど2年前の1937年9月23日から「分析における構築」(Konstruktionen in der Analyse)という論文を書き始めました。フロイトは、考古学者の仕事と精神分析を重ね合わせながら、精神分析は埋没していた個人の歴史を復元しようとする試みであると述べています。過去が病をもたらし、過去の再構築が病から解放するという考えは、フロイトの初期の仕事「ヒステリー研究」から一貫して見られるものです。すなわち、精神分析史は、それそのものが、精神分析のなす仕事と重なり合うものでもあるのです。私たちはあまりに多くのことを忘れているのかもしれません。その過程や変遷を知らないままに今にしがみついているかもしれません。そして過去を知ることは自由をもたらすかもしれません。

本邦における精神分析史研究は、これまで様々な専門分野でおこなわれ、十分な繋がりを持ってきませんでした。本シンポジウムは、それらを統合する場を持つことを目的とし、精神分析史研究の更なる発展を目指すものです。精神分析史に関心を持つ人々が、多様な領域から広く集う場所になることを願いたいと思います。

助成・協力 科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金) 基盤研究(C)
「日本の精神分析史の構築」 (研究代表 西 見奈子)(令和2年度-令和4年度)

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金) 基盤研究(C)
「本邦におけるスーパーヴィジョンの成り立ちー精神分析史からのアプローチー」 (研究代表 西 見奈子)(令和5年度-令和9年度)

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金) 若手研究
「「精神分析」はいかにして可能となったか:「精神分析史」の日本への導入」 (研究代表 松本 卓也)(令和4年度-令和8年度)

OVERVIEW

OVERVIEW概要

  1. テーマ
    「精神分析史と臨床」
  2. シンポジウム概要
    日時:2023年9月16日(土曜日)13:00-17:00(受付12:30)
    会場:京都大学 百周年時計台記念館 国際交流ホールⅢ
    (〒606-8501 京都市左京区吉田本町)
    定員:80名(コロナの感染拡大状況によっては変更あり)
    講演:『昭和戦前期日本の精神病院におけるアメリカ系の分析医と患者』
    司会:上尾 真道(広島市立大学)
    講師:鈴木 晃仁(東京大学)
    シンポジウム:司会:鈴木 菜実子(駒澤大学)
    シンポジスト:片岡 一竹・北村 隆人・西 見奈子・松本 卓也
    申込締切:2023年8月31日(木曜日)

MEMBER

MEMBERメンバー

企画
講演
シンポジスト
運営
  • 上尾 真道広島市立大学 准教授
  • 遠藤 不比人成蹊大学 文学部 教授
  • 鈴木 菜実子駒澤大学 文学部心理学科 准教授
  • 西 見奈子京都大学 大学院教育学研究科 准教授
  • 松本 卓也京都大学 大学院人間・環境学研究科 准教授
  • 鈴木 晃仁(すずき あきひと)

    東京大学・人文社会学科大学院・教授
    ロンドン大学・ウェルカム医学史研究所 でPhD (1992)、ウェルカム医学史研究所、アバディーン大学トマス・リード研究所でフェロー、1997年に慶應義塾大学経済学部で助教授、2005年に教授。2020年より東京大学・死生学応用倫理学で教授。

    昭和戦前期日本の精神病院におけるアメリカ系の分析医と患者

    20世紀前半は世界各地に精神分析学が拡がり、地域の状況によって、分析医と患者の関係は各地で大きな違いを見せた。日本においても分析医と患者の間には複数のパターンがある。最も著名であるのはフロイトに直接学んだ古澤平作と、小説家の瀬戸内晴美である。この報告では、アメリカで学んだ丸井清泰の教え子で王子脳病院の医師となった鈴木雄平と王子脳病院の患者たちの関係を取り上げ、症例誌に現れる夢をめぐる関係に注目する。

  • 上尾 真道(うえお まさみち)

    1979生。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。現在、広島市立大学准教授。精神分析・思想史・哲学。著書に『ラカン 真理のパトスーー一九六〇年代フランス思想と精神分析』(人文書院、2017)、『発達障害の時代とラカン派精神分析』(共編著、晃洋書房、2017)など。

  • 片岡 一竹(かたおか いちたけ)

    早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程
    1994年栃木県生まれ。専門分野は精神分析(フロイト、ラカン)、現代フランス哲学(20世紀フランスのヘーゲル受容)。著書に『疾風怒濤精神分析入門(誠信書房、2017年)』がある。

    「自分を視る自分を視る《他者》を視る
    ——鼠男における〈視る欲動〉とまなざしとしての対象a」

    「フロイトの「鼠男」症例の中で〈視覚的なもの〉は主要な地位を占める。彼の強迫神経症は「女性の裸を見る欲望」に関わることから始まった。また父の死後、鼠男は、亡父の幽霊に見せつけるかのように、鏡を前にして性器を露出するという視覚的な自慰に耽っていた。本発表では、ラカンの「まなざしとしての対象a」に関する議論を手がかりとして、〈視覚的なもの〉への執着が鼠男の神経症的構造の中で果たす役割を考察する」

  • 北村 隆人(きたむら たかひと)

    東洞院心理療法オフィス/太子道診療所精神神経科
    1968年生。精神科医。精神分析的心理療法家。博士(学術)。
    専門 精神分析史、精神分析と倫理。
    著書『共感と精神分析―心理歴史学的研究』(みすず書房,2021)、共訳書にネヴィル・シミントン『分析の経験』(創元社, 2006)グレン・O・ギャバード他『精神分析における境界侵犯』(金剛出版,2011)ほか。訳書近刊にアレサンドラ・レンマ『様々なトランスジェンダー・アイデンティティー(仮題)』(木立の文庫,2023)

    トランスジェンダーの精神分析的理解:その歴史的変遷

    精神分析には、同性愛の脱病理化が進んだ1970年代以降も、その動向を批判し続けた歴史がある。90年代半ば以降、この歴史を反省する立場から性的マイノリティに関する理論と臨床の見直しが行われてきたが、トランスジェンダーについては近年、性別移行を求める当事者への対応をめぐって分析コミュニティ内に混乱や激しい対立が生じている。こうした事態がなぜ生じ、この混乱をどう乗り越えればよいのか。今回はこれらの点について、トランスジェンダー理解の歴史的変遷をたどることを通して考えたい。

  • 西 見奈子(にし みなこ)

    1978年鹿児島生まれ。京都大学大学院教育学研究科准教授。博士(心理学)。精神分析家。専門は精神分析、精神分析史。著書に『いかにして日本の精神分析は始まったか―草創期の5人の男と患者たち―』(みすず書房、2019)、編著書に『精神分析にとって女とは何か』(福村出版、2020)、『教育相談支援 子どもとかかわる人のためのカウンセリング入門』(2010、萌文書林)。共著書に「ライフステージを臨床的に理解する心理アセスメント」(金子書房、2021)「いのちを巡る臨床~生と死のあわいに生きる臨床の叡智」(創元社、2018)他。

    日本の精神分析におけるスーパーヴィジョンの成り立ち

    精神分析のみならず、心理臨床全般においても重視されているスーパーヴィジョンは、一体どのようにして日本で始まり、そして広まっていったのだろうか。日本で最初のスーパーヴィジョンの報告とされ、小此木啓吾が古澤平作からスーパーヴィジョンを受けた全7回の詳細な記録である「監督教育 Supervision としての統制分析 Control-analysis の一症例の報告」(1954-1955)を中心に、日本の精神分析におけるスーパーヴィジョンについて検討したい。

  • 松本 卓也(まつもと たくや)

    1983年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授(精神病理学)。博士(医学)。著書に『人はみな妄想する ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』(青土社、2015年)、『享楽社会論』(人文書院、2018年)、『創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで』(講談社、2019年)、『心の病気ってなんだろう?』(平凡社、2019年)など。訳書にヤニス・スタヴラカキス『ラカニアン・レフト ラカン派精神分析と政治理論』(共訳、岩波書店、2017年)、ニコラ・フルリー『現実界に向かって――ジャック=アラン・ミレール入門』(人文書院、2020年)、ダリアン・リーダー『ハンズ――手の精神史』(共訳、左右社、2020年)などがある。

    フロイト的「中立性」について——症例とテクストから考える

    精神分析における「中立性」は、フロイトが使った言葉ではなく、彼が論文「転移性恋愛についての見解」において使った「無関心Indifferenz」という言葉をストレイチーが「neutrality」と英訳したことに端を発する。では、フロイト自身は中立性について何を語っていたのか。症例とテクストをもとにこの概念を探り、ひとつの「フロイトへの回帰」を試みたい。

  • 鈴木 菜実子(すずき なみこ)

    駒澤大学文学部心理学科
    1982年宮城県生まれ。駒澤大学文学部心理学科准教授。博士(心理学)。
    専門は精神分析、精神分析的心理療法。共著『精神分析にとって女とは何か』(福村出版、2020)、共訳書J・S・シャーフ『サイコアナリシス・オンライン : 遠隔治療のための知識とトレーニング』(岩崎学術出版社、2021)、S・フロイト『フロイト症例論集2 ラットマンとウルフマン』(岩崎学術出版社、2017)、フレデリック・N・ブッシュら『パニック症と不安症への精神力動的心理療法 』(金剛出版、2015)、S・フロイト『フロイト技法論集』(岩崎学術出版社、2014)ほか。

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「精神分析史と人文科学」シンポジウム事務局 historyofpsychoanalysis@gmail.com

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